【法改正】「年収の壁」はどう変わる?改正の概要と就業調整解消のための助成金について

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ご覧いただきありがとうございます。社労士オフィスそらです。

今回は、年収の壁と令和7年7月に新設された助成金についてご案内いたします。

「年収の壁」には、税金に関するものと社会保険に関するものがあります。

税金に関する壁は、所得に対して税金が課税されるものです。

年収100万超で住民税の支払い、年収103万円超で所得税の支払いが発生します。

また、年収150万円を超えると配偶者特別控除の額が段階的に減少し、年収201万超で配偶者特別控除が受けられなくなります。

令和7年度税制改正によって、所得税の納付義務が発生する金額は160万円超となります。扶養控除の年収の壁は123万円に、配偶者特別控除が満額受けられる給与水準は160万円に引きあげられます。

出典:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(国税庁)

社会保険に関する壁は2つあります。

ポイントとなる金額は「106万円」と「130万円」です。二つの概要は次のとおりです。

106万円の壁【会社で社会保険(健保・厚年)に加入する年収基準】

  1. 従業員数51人以上(フルタイムの従業員と、週所定労働時間及び月所定労働日数がフルタイムの4分の3以上の従業員数)
  2. 週20時間以上の就業
  3. 月額賃金88,000円以上(88,000円×12か月=約106万円)
  4. 2か月以上の雇用見込み

106万円の壁に含む賃金は、基本給と諸手当です。通勤手当や時間外手当、賞与は含みません。後述する130万円には全て含みます。

130万円の壁【配偶者の扶養に入れるかどうかの年収基準】

上記条件を満たさない場合で、130万円を超過した場合、扶養を外れ、国民年金・健康保険に加入する必要があります。(60歳以上の場合は180万円超)

令和7年6月の年金法改正で、短時間労働者の社会保険適用加入要件が変更されました。

週の労働時間が20時間以上となる場合には、働く企業規模に関わらず、全ての短時間労働者が社会保険に加入することになります。

所定内賃金が月額8.8万円以上(年収約106万円)とする賃金要件については、最低賃金の状況を踏まえ令和7年6月から3年以内に撤廃されるとともに、従業員50人超の企業を対象とする企業規模要件については、10年間をかけて段階的に縮小・撤廃されることとなります。

出典:年収の壁への対応(厚生労働省)

現在、個人事業所のうち、常時5人以上の者を使用する法律で定める17の業種(法定17業種)は、社会保険に必ず加入しなければなりません。

今回の改正では、法定17業種に限らず、常時5人以上の者を使用する全業種の事業所が適用対象になります。

ただし、2029年10月の施行時点で既に存在している事業所は当分の間、対象外です。

出典:社会保険の加入対象の拡大について(厚生労働省)

年収の壁の支援策として、キャリアアップ助成金のコースに「短時間労働者 労働時間延長支援コース」が新設されました。

これは、労働者を新たに社会保険に加入させ、週所定労働時間の延長や、賃金の増額等の収入増加の取り組みを行った事業主に助成されるものです。

人手不足の解消のため、必要があれば活用を検討しましょう。

出典:キャリアアップ助成金 短時間労働者労働時間延長支援コース(厚生労働省)

本日のご案内は以上です。他記事も是非ご覧ください。

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