付加保険料とは?国民年金の上乗せ制度について解説

ご覧いただきありがとうございます。社労士オフィスそらです。

本日は、月額400円の支払いで将来の年金額を増やすことができる、付加年金制度についてご案内いたします。

この記事でわかること

1 付加保険料とは?将来の年金額はいくら増える?
2 付加保険料を納めることができる方
3 付加年金にデメリットはある?
4 まとめ

付加保険料(付加年金)とは?将来の年金額はいくら増える?

国民年金保険料に、月額400円の付加保険料を上乗せして支払って、将来受け取る年金の額を増やす仕組みのことです。

老齢基礎年金を受給する権利を取得したときに、200円×付加保険料を納めた月数」の付加年金を、将来にわたって上乗せして受給することができます。

国民年金は定額負担・定額給付のため、より高い給付を希望する方にとってメリットがあります。

なお、「付加保険料の支払額<将来受け取る付加年金額(年額)」とするためには、2年以上付加年金を受け取る必要があります。

2年間、付加保険料を納めたときの負担額24か月(2年間)×毎月400円=9,600円
老齢基礎年金の受給時に上乗せされる付加年金の金額(毎年)24か月×200円=4,800円
付加保険料の納付額と受給額の比較

なお、老齢年金には、繰り上げ受給・繰り下げ受給(※)という制度があります。

※繰り上げ受給とは
原則65歳から受け取る年金を、申出により、60歳から65歳になるまでの間に早めに受け取ること。繰上げ受給の請求をした時点に応じて年金が減額され、生涯にわたって減額された年金が支給される。原則、老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰上げ請求を行う。

※繰り下げ受給とは
申出により、66歳以後75歳まで(一定の方は70歳)の間で年金を受け取ること。繰り下げた期間によって年金額が増額され、生涯にわたって増額された年金が支給される。老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げできる。

参照:年金の繰上げ・繰下げ受給(日本年金機構)

老齢基礎年金の支給を繰り上げた場合、付加年金も同様に繰り上げて支給され、同じ割合で減額された額となります。

支給を繰り下げた場合も、付加年金は同様に繰り下げられて支給され、同じ割合で増額されます。

付加保険料を納めることができる方

納付を希望する第1号被保険者と65歳未満の任意加入被保険者(※)の方です。

※第1号被保険者とは
自営業者・学生など、月々の国民年金保険料を自身で納めている20歳以上60歳未満の方のこと

※任意加入被保険者とは
60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や、老齢基礎年金を満額受給できずに年金の増額を希望する方が、60歳以降でも国民年金に加入できる制度のこと

参照:任意加入制度 (日本年金機構)

付加年金制度は、国民年金独自の制度です。第2号被保険者である会社員の方や、第3号被保険者(第2号被保険者に扶養されている配偶者)の方は、付加保険料を納めることができません。

また、第1号被保険者の方でも、保険料支払いの免除・猶予を受けている方は付加保険料を納付することができません。

これは、付加年金が国民年金の上乗せ制度であるためです。

別の上乗せ制度である国民年金基金に加入している方も、重複して付加保険料を納めることはできません。

なお、iDeCo(個人型確定拠出年金)と付加年金の併用は可能です。併用した場合、第1号被保険者のiDeCoの拠出限度額は、月額67,000円です。

(第1号被保険者のiDeCoの拠出限度額は、68,000円です。拠出する金額は5,000円から1,000円単位で決定するため、付加保険料の400円を1,000円と切り上げて計算します。)

iDeCoについての記事はこちら

付加年金にデメリットはある?

付加年金は将来にわたって受給できますが、減額や増額がありません。

基礎年金はある程度、物価の上昇に対応していますが、付加年金は、物価がどれだけ上昇しても「200円×納めた月数」のままです。

将来にわたって物価の上昇が続けば、付加年金の実質的価値は目減りすることになります。

また、65歳未満で死亡した場合でも、納付した付加保険料の返金はありません。

まとめ

付加保険料のポイント

付加保険料(付加年金)は、国民年金独自の制度。第1号被保険者と65歳未満の任意加入被保険者は、国民年金保険料とともに、月額400円の付加保険料を納めることができる。

付加年金額(年額)は「200円×付加保険料を納めた月数」で計算する2年以上付加年金を受け取れば、納めた年金額より受給額が大きくなる

老齢基礎年金と異なり、改定率の見直しによる年金額の改定がない。物価の上昇が続けば、実質価値が目減りする。

今回のご案内は以上です。

ご不明点のある事業主の方、労務ご担当者の方はお気軽にご質問ください。

参照:付加保険料の納付(日本年金機構)