社会保険は何歳まで加入できる?節目となる40歳・65歳・70歳・75歳について解説

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今回は、社会保険に何歳まで加入できるか、ポイントとなる年齢を押さえながらご案内いたします。

この記事でわかること

1 社会保障制度と社会保険について
2 節目となる年齢は40歳・65歳・70歳・75歳!各種保険制度について解説

社会保障制度と社会保険について

はじめに、社会保障制度について簡単にご説明します。

社会保険は、社会保障制度の枠組みの中にあります。なお、社会保障制度の定義は下記のとおりです。

 社会保障制度は、国民の「安心」や生活の「安定」を支えるセーフティネットです。
 「社会保険」、「社会福祉」、「公的扶助」、「保健医療・公衆衛生」からなり、子どもから子育て世代、お年寄りまで、全ての人々の生活を生涯にわたって支えるものです。

引用:厚生労働省ホームページ 「社会保障とは何か」

そして、社会保険は下記のとおり定義されています。

国民が病気、けが、出産、死亡、老齢、障害、失業など生活の困難をもたらすいろいろな事故(保険事故)に遭遇した場合に一定の給付を行い、その生活の安定を図ることを目的とした強制加入の保険制度

引用;厚生労働省ホームページ「社会保障とは何か」

社会保険は、条件を満たす方は必ず加入しなくてはなりません。

強制加入とすることで、互いに支えあいながら、様々な事情に対する保険給付を可能にしています。

なお、社会保険には、「狭義の社会保険」と「広義の社会保険」という呼び方があります。

  • 狭義の社会保険→医療(健康保険・国民健康保険)、年金(国民年金・厚生年金保険)、介護保険制度の総称
  • 広義の社会保険→狭義の社会保険&労働保険(労災保険・雇用保険)の総称

今回は「広義の社会保険」についてご説明します。

節目となる年齢は40歳・65歳・70歳・75歳!各種保険制度について解説

労働保険

労災保険

労災保険には、年齢制限がありません。労働者である限り、適用対象者となります。

雇用保険

適用事業所に使用され、一定の条件を満たした労働者は雇用保険に加入します。

季節雇用や短期雇用、日雇いでない場合は、「一般被保険者」として資格を取得します。

そして、65歳以上になると、「高年齢被保険者」としての被保険者資格を有することになります。

一般被保険者と高年齢被保険者の違いは下記のとおりです。

一般被保険者高年齢被保険者
年齢65歳未満65歳以上
失業した場合に支給される手当基本手当として、所定給付日数分が支給される。高年齢求職者給付金として、一時金が支給される。
要件離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月間以上あること

※会社都合や特定理由離職者の場合は期間が短縮される。
離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月間以上あること
支給日数90日から360日分30日分または50日分
(一般被保険者と高年齢被保険者の違い)※就職の意思と能力があるものとします。

70歳までの就業機会の確保が努力義務になっていますので、今後も高年齢被保険者の割合が増加することが予測されます。

高年齢被保険者・高年齢求職者給付金についての記事はこちら

参照:高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~(厚生労働省)

社会保険

健康保険(被用者保険、国民健康保険)

被用者保険とは、雇用関係にある従業員や、その家族が加入する健康保険のことです。

被用者保険と国民健康保険は、75歳の誕生日前日まで加入できます。

75歳以上(一定の障害がある方は65歳以上)になると、後期高齢者医療広域連合が運営する、「後期高齢者医療制度」に加入します。

後期高齢者医療制度に切り替わると、加入以前の健康保険の被保険者・被扶養者資格を喪失します

そのため、75歳未満の被扶養者がいる場合、被扶養者は国民健康保険などの他の医療保険に加入しなければなりません。

参照:福岡県後期高齢者医療広域連合ホームーページ

介護保険

40歳になると介護保険料の支払いが始まります。支払いは一生涯継続して続きます

40歳以上65歳未満の医療保険加入者を「介護保険の第2号被保険者」、65歳以上の方を「介護保険の第1号被保険者」といいます。

介護保険料は、誕生日の前日が属する月から健康保険料と一緒に徴収されます。

なお、市区町村や保険者によって介護保険料の金額は異なります。

65歳以上になると、年金天引き・納付書・口座振替等の方法によって、お住まいの市区町村より保険料が徴収されます。

参照:介護保険制度について(40歳になられた方へ)(厚生労働省)

国民年金

日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の方で、厚生年金の被保険者でない方が被保険者です。

自営業者などの第1号被保険者は、毎月保険料を納めなくてはなりません。令和6年度の国民年金保険料は16,980円です。

なお、国民年金には、60歳以降の方を対象とした(高齢)任意加入制度があります。(任意加入被保険者は、第1号被保険者と同様の取り扱いです。)

こちらは、受給額を満額に近づけたい方、つまり、保険料納付済期間を40年間にするために利用する制度です。

その他、「特例(高齢)任意加入制度」という、老齢基礎年金の受給資格を得ることを目的とした制度もあります。対象者は、一定の要件を満たした65歳以上70歳未満の方です。


両制度の比較は下記のとおりです。

(高齢)任意加入特例(高齢)任意加入
目的受給額を満額に近づけるため。老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たして、年金の受給権を得るため。
加入可能な年齢60歳以上65歳未満   65歳以上70歳未満 
要件厚生年金被保険者等ではなく、繰上げ受給をしていないこと厚生年金被保険者等ではなく、昭和40年4月1日以前生まれであること
(高齢任意加入制度と特例高齢任意加入制度の違い)

参照:任意加入制度(日本年金機構)、国民年金保険料(日本年金機構)

厚生年金保険

適用事業所に使用される、70歳未満の方が被保険者です。70歳になると厚生年金被保険者の資格を喪失し、保険料を支払う必要がなくなります。

70歳到達日以降も引き続き同じ事業所で就業する場合は、事業主が「70歳到達届」を提出します。(※標準報酬月額に変動がないときは提出不要です。)

なお、届け出た報酬月額によって、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となる場合があります。

また、70歳以上で老齢年金を受給する加入期間を満たしていない場合、事業主の同意と厚生労働大臣の認可を得れば、厚生年金保険に任意で加入することができます。

保険料は、全額を被保険者が負担します。事業主の同意がある場合は、折半も可能です。

参照:被保険者資格の取得・喪失、被扶養者関係届書(日本年金機構)

まとめ

本日のポイント

(労働保険)
労災保険には年齢制限がない。労働者である限り適用対象になる。
雇用保険は、65歳まで基本手当を受給できる。65歳以上は高年齢被保険者に切り替わり、高年齢求職者給付金を受給する。

(社会保険)
健康保険は、75歳になる誕生日の前日まで加入できる。75歳以降は、後期高齢者医療制度に加入する。
介護保険は、40歳から加入する。65歳になると被保険者区分や保険料の納付方法が変わる。保険料の支払いは一生涯続く。
国民年金は、20歳から60歳まで加入する。年金額を増やしたい場合、任意加入制度を利用して、65歳(※受給資格がない場合のみ70歳まで加入できる
厚生年金は、70歳になると厚生年金被保険者の資格を喪失する。70歳で老齢年金の受給資格がない場合は、任意加入制度を利用できることがある。

今回のご案内は以上です。

ご不明点のある事業主の方、労務担当者の方はお気軽にお尋ねください。