高年齢求職者給付金とは?65歳以上の方が受給できる失業給付について解説

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本日は、65歳以上の方が失業した場合に受給できる、「高年齢求職者給付金」についてご案内いたします。

この記事でわかること

1 高年齢求職者給付金と基本手当(失業保険)との違いは?

2 高年齢求職者給付金と年金は、同時に受け取ることができる?

3 高年齢求職者給付金の支給日数と金額の計算方法は?

4 高年齢求職者給付金を受給するための手続きの流れ

1 高年齢求職者給付金と基本手当との違いは?

65歳未満の方が雇用保険に加入しているときは、条件を満たすと基本手当(一般に失業保険、失業給付と呼ぶことがあります。)を受給することが可能です。

上記の条件を満たす労働者の方を、「一般被保険者」といいます。

(短期雇用特例、日雇労働被保険者の方については今回は割愛します。)

65歳以上の方で条件を満たすと、「高年齢被保険者」という、一般被保険者とは異なる区分に変わります。

65歳以上の方が雇用保険の適用対象になったのは平成29年1月のことです。雇用保険の適用拡大に応じて、対象になりました。

参照:「雇用保険の適用拡大等について」(厚生労働省)

基本手当との比較は下記のとおりです。

基本手当高年齢求職者給付金
※被保険者期間離職日以前2年間に、通算して12か月以上必要※会社都合の場合は、離職日以前1年間に通算して6か月以上離職日以前1年間に、通算して6か月以上必要
給付日数被保険者期間や離職理由、年齢に応じて、90日~360日分が分割で支給される。被保険者期間が1年以上なら50日分、被保険者期間が1年未満なら30日分。離職理由で違いはない。
待期期間+給付制限期間待期期間(7日間)+自己都合の場合は2か月間※重大事由、複数回離職の場合は3か月間基本手当と同じ。
年金との併給同時に受給できない。基本手当の受給中は、全額支給停止される。併給できる。制限はない。
受給期間の延長制度あり。延長理由に応じて最大4年間。なし。離職日翌日より1年間が受給期間。
基本手当と高年齢求職者給付金の違い

※被保険者期間とは
離職日から1か⽉ごとに区切っていた期間に、賃⾦⽀払の基礎となる日数が11日以上ある月、または、賃⾦⽀払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある月を1か月として計算する期間のこと。

一般被保険者の方は、4週間に1回、失業の認定を受けて、90日~360日分の基本手当を分割して受け取ります。

一方、高年齢被保険者の方が受給できる高年齢求職者給付金は1回のみの支給で、支給日数は最大でも50日分です。

被保険者期間のみで日数が決まるため、会社都合の場合でも給付日数に違いはありません。

一定期間、給付が制限される期間(ハローワークで求職の手続きをした日から7日間(待期期間)+待期期間の翌日から2か月間)については、基本手当と違いはありません。

なお、会社都合の場合は、待期期間の満了後、失業の認定を受けて給付金を受給することができます

2 高年齢求職者給付金と年金は、同時に受け取ることができる?

高年齢求職者給付金は、年金と同時に受け取ることが可能です。併給調整はありません。

3 高年齢求職者給付金の支給日数と金額の計算方法は?

支給日数は、被保険者期間が1年未満なら30日、1年以上なら50日です。

計算式は「※基本手当日額×30日または50日分」です。

※基本手当日額とは
雇用保険で受給できる1日あたりの金額のこと。被保険者期間として計算された離職前の6か月間に支払われた賃金(賞与を除く)を180で割った上で、45%~80%の給付率をかけて計算する。

4 高年齢求職者給付金を受給するための手続きの流れ

高年齢求職者給付金の対象となる方は下記のとおりです。

離職日以前1年間に、通算して被保険者期間が6か月以上あること

・※失業の状態にあること

※失業とは
離職し、「就職したいという積極的な意思といつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)があり積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない状態」にあることをいいます。

参照:離職されたみなさまへ「高年齢求職者給付金のご案内」(厚生労働省)

お住まいの住所地を管轄するハローワークにて、求職の申し込みを行います。

待期期間(自己都合退職の方は+給付制限期間)の経過後、認定日に失業状態であることの確認を受けた場合に、給付金が支給されます。

支給を受けることができる期間(受給期間)は、離職日の翌日より1年間です。

受給期間の延長制度がないため、1年間を過ぎた日数分の手当は受け取ることができません。

高年齢被保険者の方は、お早めに求職申し込みの手続きを行いましょう。

まとめ

高年齢求職者給付金のポイント

基本手当(失業給付・失業手当)との違いは、①一時金であること②受給期間(離職日の翌日より1年間)の延長がないこと。給付制限期間については基本手当と同じ。     

年金との併給調整はない。同時に受給できる。

65歳以降の雇用保険の加入期間に応じて、30日または50日分の一時金を一括で受給できる。金額は「基本手当日額×30日or50日分」。

・受給期間は離職日の翌日から1年間。受給期間の延長制度がないので、早めに手続きを行う。

本日のご説明は以上です。

ご不明点のある事業主の方、ご担当者の方はお気軽にご質問ください。