育児休業給付金の計算方法は?支給要件や法改正についてのまとめ

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本日は、育児休業給付の内容と支給要件について、来年度からの法改正予定を含めてご案内いたします。

育児休業給付金について

育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が、原則1歳未満の子を養育するために育児休業(※)を取得して、以下の要件を満たした場合に支給されます。

※育児休業期間について
育児休業は、子が1歳に達する日(誕生日の前日)まで取得できます。なお、パパ・ママ育休プラス制度を利用して育児休業を取得する場合は1歳2か月、保育所の空きがない等の理由がある場合は1歳6か月or2歳になるまで取得が可能です。

支給要件

  1. 育児休業を、1歳未満の子の養育のために取得した被保険者であること

    1歳未満の子を養育する育児休業は、2回まで分割して取得することができます。

  2. 休業開始日以前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は、就業期間数が80時間以上の)月が12か月以上ある)こと

    賃金支払基礎日数とは、賃金の支払対象になった日のことをいいます。

    (欠勤控除して給与を支給する場合、賃金支払基礎日数は「就業予定日数-欠勤日」です。)

  3. 【有期雇用の場合】
    子が1歳6か月(延長事由に該当する場合は2歳)に達する日までに、雇用契約が終了することが明らかではないこと

出生時育児休業給付金について

出生時育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が、産後パパ育休(出生時育児休業)(※)を取得して、以下の要件を満たした場合に支給されます。

※産後パパ育休(出生時育児休業)とは

通常の育児休業とは別に取得可能な育児休業のことです。
子の出生(or出産予定日)後8週間以内に、4週間(28日)以内の希望する期間で、最大で2回に分けて取得できます。
原則、男性を対象とした制度ですが、養子の場合は女性も利用が可能です。

支給要件

  1. 産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した被保険者であること

    産後パパ育休は、最大で28日間、2回に分割して取得が可能です。

    対象者は、出生時育児休業の初日から末日まで雇用保険の被保険者でなくてはなりません。

    なお、男性が取得する場合は、配偶者の出産予定日or子の出生日のいずれか早い日から、給付金の対象となります。


  2. 休業開始日以前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は、就業期間数が80時間以上の)月が12か月以上あること


  3. 休業中の就業日数が、10日以内(10日超の場合、就業時間数が80時間以内)であること

    労使協定を締結している場合は、産後パパ育休の期間中に、被保険者が合意した範囲で就業が可能です。

    なお、休業期間が28日間より短い場合には、その日数に比例して就業日数が短くなります。


  4. 【有期雇用の場合】
    子の出生日(出産予定日前に子が出生した場合は、出産予定日)から8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに、雇用契約が終了することが明らかでないこと



参照:Q&A~育児休業給付~(厚生労働省)、育児休業給付の内容と支給申請手続 被保険者・事業主の皆さまへ(都道府県労働局・公共職業安定所)

ご参考:育児休業期間中の社会保険料・制度のまとめ記事はこちら


支給額の計算方法

支給額の計算方法は次のとおりです。

育児休業給付金=休業開始時賃金日額(※)×支給日数×67%(育児休業開始から181日目以降は50%)

出生時育児休業給付金= 休業開始時賃金日額 × 休業期間の日数(上限28日)× 67%

※休業開始時賃金日額とは
休業開始以前6か月間の賃金を180で割って求めた金額のことです。(産前産後休業を取得した方の場合は、産前産後休業開始前の直近6か月間です。)
なお、賃金支払基礎日数が11日未満の賃金月や臨時に支払われる賃金は除いて計算します。


なお、支給単位期間(※)の途中で離職した場合、資格喪失日の属する支給単位期間は、育児休業給付金の支給対象外となります。

※支給単位期間とは
育児休業の開始日から数えた、1か月ごとの期間のことです。
1支給単位期間の支給日数は、原則として30日間(育児休業終了日を含む支給単位期間は、育児休業終了日までの日数)となります。

また、出生時育児休業給付金が支給された日数は、育児休業給付金の給付率67%の上限日数である180日間に通算します。


給付金の対象にならないケースは?

育児休業給付金

  1. 10日かつ80時間を超えて、1支給単位期間中に就業した場合

    就業日数・就業時間には、在職中の事業所以外で就業した分も含みます。
     
  2. 休業開始時賃金日額×支給日数の80%以上の賃金が、1支給単位期間において支払われている場合

    育児休業期間を対象として、事業主が休業開始時賃金日額の80%以上を支払った場合、育児休業給付金は支給されません。

    なお、休業開始時賃金日額の13%(育休開始から181日目以降は30%)超~80%未満の賃金が支払われた場合は、育児休業給付金が減額して支給されます。

    上記の支給額の計算式は、「賃金月額×80%」ー「育児休業期間を対象として支払われた賃金」です。

  3. 育児休業期間中に、退職を予定している場合

    育児休業給付金は、育児休業終了後の職場復帰を目的として支給されるものです。

    当初からすでに退職を予定しているのであれば、育児休業給付の支給対象となりません。

  4. 3回目以降の育児休業を取得する場合

    育児休業は2回まで分割取得できます。3回目以降は、一定事由(※)に該当する場合を除き、給付の対象外です。

※申出対象である1歳未満の子について、3回目以降の支給申請が可能な例

・子の養育を行う配偶者が、死亡、負傷等、婚姻の解消による別居等のため、養育できなくなった。
・子が、負傷、疾病等で2週間以上の期間にわたり世話を必要とする状態になった。
・保育所等での保育利用を希望し、申込みを行っているが、当面実施されない 等

なお、夫婦交替で育児休業を取得する場合、1歳~1歳6か月、1歳6か月~2歳の各期間中、夫婦それぞれ1回に限り育児休業給付金の対象となります。

出生時育児休業給付金

  1. 出生時育児休業を3回に分けて取得した場合の、3回目の休業

  2. 出生時育児休業を28日間を超えて取得した場合の、超過分の休業

    なお、事業主と被保険者が合意した場合は、1.2の休業を通常の育児休業に振り替えた上で、育児休業給付金として支給申請することが可能です。

  3. 休業中の就業日数が、一定期間を超える場合

  4. 出生時育児休業期間を対象として、「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の80%以上の賃金が支払われた場合


令和7年4月からどのように変わる?

令和7年4月1日を施行期日として、「出生後休業支援給付」と「育児時短就業給付」の2つの給付が創設される予定です。

出生後休業支援給付

被保険者と配偶者の両方が、子の出生直後の一定期間に14日以上の育児休業等をする場合に、最大28日まで、休業開始前賃金の13%相当額を支給する制度です。

既存の育児休業給付(67%)とあわせて、給付率80%への引き上げが予定されています。

なお、両親の育児休業取得が条件ですが、配偶者が育児休業を取得することができない事情(フリーランスである・専業主婦である等)がある場合、配偶者の取得要件は問いません。

育児時短就業給付

被保険者が2歳未満の子を養育するために短時間勤務をしている期間中に支払われた賃金額の、最大10%を支給する制度です。

短時間勤務後の賃金と給付額の合計が、短時間勤務前の賃金を超えないように給付率が調整されます。

参照:雇用保険法等の一部を改正する法律等の概要(職業安定分科会(第207回) 参考資料)

まとめ

記事のポイント

  • 育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が、原則1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した場合に支給される。給付率は67%(育児休業開始から181日目以降は50%)。
  • 出生時育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が産後パパ育休を取得した場合に、最大で28日間支給される。給付率は67%。
  • 給付金の対象にならないケースがある。
  • 令和7年4月1日を施行期日として、「出生後休業支援給付」と「育児時短就業給付」の創設が予定されている。


本日のご案内は以上です。

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