パワーハラスメントの定義は?事業主がとるべきパワハラ防止措置のまとめ
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本日は、パワーハラスメントの定義や、事業主が取るべきパワハラ防止措置についてご案内いたします。
パワーハラスメントの定義
パワーハラスメントとは、職場で行われる次の要素をすべて満たす行為のことをいいます。
- 優越的な関係を背景とした言動
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
- 労働者の就業環境が害されるもの
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、パワハラに該当しません。
1の「優越的な関係」は、職場での地位が上位の者に限りません。
同僚や部下でも、その方の協力がなければ、業務が円滑に進まないなど、抵抗や拒絶ができない確率が高い場合も該当します。
2の「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」は、業務上明らかに必要のない言動や、業務の目的を大きく逸脱した言動等のことです。
個別の事案についてパワハラにあたるかを判断する際には、言動の目的、経緯や状況等が総合的に考慮されます。
なお、指導目的の注意や叱責であっても、労働者の人格を否定・非難する内容、他の労働者の面前や閉鎖的な環境で継続的に行う場合は、違法性が認められやすい傾向にあります。
3の「労働者の就業環境が害されるもの」とは、肉体的・精神的苦痛から労働者の能力発揮に重大な影響が生じるなど、働く上で看過できないほどの支障が生じることをいいます。
パワハラとなる代表的な言動の種類
パワハラとなる代表的な言動には、次のようなものがあります。
- 身体的な攻撃(暴行・傷害)
- 精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
- 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
- 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
- 過小な要求(業務上の合理性なく能力・経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる、仕事を与えないこと)
- 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
パワハラ防止措置と事業主に求められる対応
事業主は、パワハラ防止のため、相談体制の整備等、雇用管理上の措置を講じなくてはなりません。
必ず講じなくてはならない措置は次のとおりです。
1.事業主の方針等の明確化および周知・啓発
①職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること
②行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること
2.相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
③ 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
④ 相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること
※パワハラ発生のおそれがある場合や該当するか微妙な場合であっても、広く相談に応じること
3.職場におけるパワハラに関する事後の迅速かつ適切な対応
⑤ 事実関係を迅速かつ正確に確認すること
⑥ 速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
⑦ 事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと
⑧ 再発防止に向けた措置を講ずること(事実確認ができなかった場合も含む)
4.併せて講ずべき措置
⑨ 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること
⑩ 相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取り扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること
なお、労働者が事業主に相談したこと等を理由に、事業主が解雇その他の不利益な取り扱いを行うことは禁止されています。
また、事業主には、ハラスメントに対する労働者の理解や関心を深めることや、研修を実施する等、必要な配慮をすることが求められています。
おわりに
公的な相談窓口で、労働者から一番相談の多いテーマはパワーハラスメントです。
事業主の方は、従業員の職場環境に配慮する必要があります。働く方全員にとってより良い職場環境を作りましょう。
ご不明な点があればお気軽にお尋ねください。
引用:職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)(厚生労働省)
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