介護両立支援制度の基本と企業の対応|仕事と介護を両立するために必要な制度まとめ

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ご覧いただきありがとうございます。社労士オフィスそらです。

本日は、仕事と介護を両立するために必要な介護両立支援制度についてご案内します。

はじめに

介護休業は、家族が要介護状態になったときに、従業員が「仕事」と「介護」を両立できる体制を整えるため、取得できる休業のことです。介護休業の利用期間は、対象家族1人について通算93日であり、3回まで分割して取得が可能です。

介護休業は、長期にわたって介護に専念するための休業とは異なります。

介護離職を防止し、仕事と介護の両立を可能とするための制度として、6つの介護両立支援制度があります。

介護両立支援制度

①介護休暇

介護休暇は、日常的な介護のニーズにスポットで対応するための休暇です。一日又は時間単位で、対象家族が1人の場合は年5日まで、2人以上の場合は年10日まで取得することができます。

有給か無給かは会社の規定によります。なお、従業員の申出は書面に限定されておらず、口頭でも可能です。

介護休暇を取得できる従業員の要件が2025年4月に緩和され、労使協定を締結している場合に対象外となる従業員は、1週間の所定労働日数が2日以下の従業員のみになりました。(継続雇用期間6か月未満の除外規定が撤廃)

②所定外労働の制限

所定外労働とは、就業規則等で定められた勤務時間を超える労働のことです。従業員からの請求があれば、会社は所定外労働を免除しなければなりません。

利用期間は、1回につき、1か月以上1年以内の期間で回数の制限はありません。開始予定日の1か月前までに従業員が書面等で請求します。

労使協定の締結で除外される従業員は次のとおりです。

①入社1年未満の従業員

②1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

③時間外労働の制限

l時間外労働とは、法定労働時間(原則として1日8時間、1週間40時間)を超える労働のことです。従業員からの請求があれば、会社は1か月に24時間、1年間に150時間を超える時間外労働をさせることはできません。

利用期間は、1回につき、1か月以上1年以内の期間で回数の制限はありません。開始予定日の1か月前までに従業員が書面等で請求します。

対象外となる従業員は次のとおりです。なお、労使協定は不要です。

①日々雇用される従業員

②入社1年未満の従業員

③1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

④深夜業の制限

深夜業とは、午後10時から午前5時までの労働のことです。会社は従業員からの請求があれば深夜業をさせることはできません。利用期間は、1回につき、1か月以上6月以内の期間で回数の制限はありません。開始予定日の1か月前までに従業員が書面等で請求します。

対象外となる従業員は次のとおりです。なお、労使協定は不要です。

①日々雇用される従業員

②入社1年未満の従業員

③1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

④所定労働時間の全部が深夜にある従業員

⑤一定の条件を満たす、介護のできる16歳以上の同居家族がいる従業員

⑤介護のための所定労働時間の短縮措置

会社は次の措置の中から、1つ以上を選択して、実施しなければなりません。

  • 短時間勤務制度
  • フレックスタイム制
  • 時差出勤制度(始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度)
  • 介護費用の助成措置

労使協定の締結で除外される従業員は次のとおりです。

①入社1年未満の従業員

②1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

⑥介護のためのテレワーク導入

2025年4月から、介護のためのテレワーク導入が努力義務化されました。

テレワークを導入する際は、勤怠状況の見える化、成果の管理に留意が必要です。

介護離職防止のための雇用環境整備・実施措置

仕事と介護の両立支援制度を十分活用できないまま介護離職に至ることを防止するためには、早期の情報提供が肝要です。

①介護に直面する前の早い段階での情報提供

会社は従業員が介護に直面する前の早い段階で、介護休業制度等に関する事項について次の事項について情報提供しなければなりません。

情報提供期間① 労働者が40歳に達する日(誕生日前日)の属する年度(1年間) ② 労働者が40歳に達する日の翌日(誕生日)から1年間 のいずれか
情報提供事項① 介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容) ② 介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など) ③ 介護休業給付金に関すること
情報提供方法①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか    注:①はオンライン面談も可能

②介護に直面した旨の申出をした従業員に対する個別の周知・意向確認

介護に直面した従業員に対して、会社は介護休業・介護両立支援制度等を個別に周知の上、制度利用の意向を確認しなければなりません。

周知事項①介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容) ②介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など) ③介護休業給付金に関すること
個別周知・ 意向の確認方法①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか   注:①はオンライン面談も可能

情報提供に当たっては、各種制度の趣旨や目的をふまえ、併せて介護保険制度についても周知することが望ましいとされています。

介護離職防止のための雇用環境整備

会社は、介護休業及び介護両援制度等の申出が円滑に行われるようにするため、いずれかの措置を講じなくてはなりません。

介護休業・介護両立支援制度等の実施に関する研修の実施

②介護休業・介護両立支援制度等の実施に関する相談体制の整備

③介護休業・介護両立支援制度等に関する事例の収集・従業員への情報提供

④介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知

措置は、複数講じることが望ましいとされています。

本日のご案内は以上です。他記事も是非ご覧ください。

出典:介護休業制度 特設サイト(厚生労働省)、育児介護休業法 改正ポイントのご案内(厚生労働省 都道府県労働局雇用環境・均等部(室))