未支給年金の請求とは?遺族年金との違いや手続きについて解説
ご覧いただきありがとうございます。社労士オフィスそらです。
本日は、未支給年金の請求についてご案内いたします。
この記事でわかること
1 未支給年金の請求とは
2 請求できる遺族は?遺族年金との違い
3 未支給年金請求書と添付書類について
4 振り込みはいつ?
5 未支給年金は相続の対象?
6 まとめ
未支給年金の請求とは
年金受給者の方が死亡した場合に、その方が受け取ることができた年金を、一時金として遺族が受け取ることです。
年金は、偶数月の15日に、前月と前々月の2か月分が支給されます。(例:4月に2月分と3月分が支給)
死亡した日の属する月まで年金は支払われますので、死亡日に応じて、1か月~3か月分の未支給年金が発生します。
参照:年金を受けている方が亡くなったとき(日本年金機構)
また、年金を受け取る権利が発生していたのに、年金の請求をせずに亡くなった場合も、未支給年金の請求が可能です。
この場合、未支給年金の請求と一緒に、死亡者自身の年金請求手続きも必要になります。
請求できる遺族は?遺族年金との違い
請求できる遺族は?
年金受給者の死亡時に、「生計を同じくしていた3親等内の親族」です。
「生計を同じく」(生計同一関係)とは、「日常生活を営む生活費を、同じ家計から支出していること」を指します。
一般的に、同居の場合は、生計を同じくしているとみなします。(別世帯で、同じ住所に住んでいるときも同様です。)
なお、未支給年金を請求できる順番は、①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹、⑦その他3親等内の親族です。
先順位者がいて支給要件を満たす場合、後順位者は未支給年金を請求することはできません。
遺族年金との違い
①年金の受け取り方が異なる
未支給年金は一時金として支給されます。一方、遺族年金は、条件を満たす限り終身で支給される年金です。
②年金を請求できる遺族の範囲が異なる
未支給年金は、前述のとおり①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹、⑦その他3親等内の親族の方が請求できます。
遺族年金(※)の方が、請求できるご遺族の範囲が狭くなっています。
※遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。2つの年金の受給権者は下記のとおりです。
なお、「子」とは18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方をさします。
・遺族基礎年金→生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」
・遺族厚生年金→生計を維持されていた①子のある配偶者②子③子のない配偶者④父母⑤孫⑥祖父母のうち、先順位の方 (各遺族の年齢要件は省略します。)
参照:遺族年金(受給要件・対象者・年金額)(日本年金機構)
③生計同一関係(生計を同じくしていること)・生計維持関係の要件が異なる
未支給年金は、生計同一関係、遺族年金は生計維持関係が必要です。
生計維持関係は、生計同一関係に加えて収入要件を満たす必要があります。(生計維持関係=生計同一関係+一定額以下の収入)
未支給年金請求書と添付書類について
未支給年金請求書を使用して、請求を行います。
なお、紙の用紙は、受給権者死亡届(報告書)と2枚複写になっており、一緒に提出します。
受給権者死亡届は、日本年金機構にマイナンバーが登録されていれば省略可能ですが、提出を求めれられることが多い印象です。
添付書類について
添付書類はマイナンバーの記載の有無によって異なります。
添付書類が異なる理由は、年金機構で、マイナンバーをもとに住民票の記載を確認できるためです。
マイナンバーの記入をした場合
・死亡した方の年金証書→添付できない場合は、死亡報告書にその旨を記載します。
・戸籍謄本→死亡した受給権者と、遺族との繋がりを確認するために必要です。
※遺族との繋がりが1通の戸籍で確認できない場合は、遡って戸籍を取得していきます。
・通帳(コピー可)→請求者する遺族名義の口座が必要です。
※マイナポータルにて、公金受取口座を登録済みで、その口座に振込みを希望する場合は不要です。
郵送で請求する場合は、マイナンバーカードの両面コピーを提出します。
マイナンバーの記載がない場合
上記の3つの書類に追加して、
・亡くなった方の住民票(除票)
・請求される方の世帯全員の住民票(死亡日以降に取得したもの)が必要です。
その他、下記の場合には別途、「生計同一に関する申立書」などが必要となります。
- 住所が住民票上異なっていたが、生計を同じくしていた
- 生活費などの経済的な援助が行われていた
- 事実婚である場合
振り込みはいつ?
請求から3~4か月後、日本年金機構より「未支給(年金・保険給付)決定通知書」が送付されます。
なお、年金の振込みは、通知書送付から約50日後に行われます。
参照:未支給年金お手続きガイド(厚生労働省)
未支給年金は相続の対象?
未支給年金は、請求者である遺族固有の権利であるため、相続財産の対象となりません。
未支給年金を請求する遺族は、「自己の名で」未支給年金を請求します。
この場合の自己の名、とは「自分の権利として」という意味です。
死亡した方が年金の請求をしていなかった場合も同様に、自己の名で請求をします。
まとめ
未支給年金のポイント
・未支給年金の請求とは、年金受給者の方が死亡した場合に、その方が受け取ることができた年金を一時金として遺族が受け取ること
・生計を同じくしていた3親等内の親族が請求できる。なお、請求は自分の権利として行う。
・未支給年金請求書は、受給権者死亡届と一緒に提出する。マイナンバーの記載の有無によって添付書類が異なる。
・年金の振り込みは、決定通知書の送付後、約50日後に行われる。
・未支給年金は請求者である遺族固有の権利のため、相続財産の対象ではない。
今回のご案内は以上です。
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