一人親方とは?労災保険を始めとする社会保険の加入と法人化した場合の手続きについて解説
ご覧いただきありがとうございます。社労士オフィスそらです。
今回は、一人親方の社会保険の加入と、法人化した場合の保険関係についてご説明します。
この記事でわかること
1 一人親方とは?
2 加入できる社会保険について
3 法人化した場合、社会保険はどうなる?
4 まとめ
一人親方とは?
労働者を使用せずに、一定業種の事業を行う方のことです。建設業を営む方が代表的です。
(※労働者を使用する場合、使用日数の制限があります。)
加入できる社会保険について
各種保険の適用対象者や被保険者になるかを確認します。
なお、被保険者とは、「保険に加入し、必要な給付を受ける人」のことをいいます。
今回は、労働保険(労災保険・雇用保険)を含めた、広義の社会保険についてご説明します。
労災保険
労災保険は、労働者の業務や通勤による災害について、保険給付を行う制度です。
一人親方は労働者ではないため、原則として労災保険の適用対象者ではありません。
しかし、労働者と同じような業務を行い、被災する危険も同程度であるため、「特別加入」という制度によって労災保険に加入することができます。
特別加入することで、業務上のケガや病気に対して労働者と同程度の保護を受けることができます。
なお、労災保険への加入は、通常、都道府県労働局長の承認を受けた特別加入団体を通じて行います。
雇用保険
雇用保険は、労働者が失業した場合等に必要な給付を行う制度です。
一人親方は労働者ではないため、雇用保険の被保険者ではありません。
健康保険・介護保険
一人親方は、原則として、国民健康保険の被保険者です。(※建設国保等の国民健康保険組合もあります。)
前年の所得や扶養家族の有無で保険料が変動します。
国民健康保険には、扶養という考え方がありません。保険料は世帯単位で計算されます。
また、40歳になると、介護保険の被保険者として、介護保険料を支払います。
国民年金・厚生年金保険
一人親方は、国民年金にのみ加入する「第1号被保険者」です。事業所単位で加入する、厚生年金保険の被保険者ではありません。
遺族年金や障害年金は、厚生年金の方が対象者の範囲が広くなっています。
厚生年金の方が保証が手厚いため、前述の特別加入制度などで、リスクを管理することが大切です。
法人化した場合、社会保険はどうなる?
一人親方が法人化した場合は、個人事業主から法人の代表者になります。
法人化した場合でも、労災保険の特別加入は継続することができます。
雇用保険は、労働者のための保険ですので、引き続き対象外です。
法人化すると社会保険の加入義務が生じるため、会社員と同様の「第2号被保険者」として、厚生年金に加入します。
また、健康保険も国民健康保険ではなく、健保協会・健康保険組合に加入することになります。
なお、社会保険料は役員報酬をもとに決定します。
まとめ
一人親方の社会保険のポイント
・労災保険の適用対象者ではない。しかし、業務の実情や危険性から、「特別加入制度」を利用して労災保険に加入できる。
・雇用保険には、労働者でないため加入できない。
・健康保険は、国民健康保険に加入する。40歳になると、介護保険の被保険者として介護保険料を支払う。
・国民年金は、第1号被保険者として国民年金保険料を支払う。
法人化したときは
・引き続き、労災保険の特別加入を継続できる。
・雇用保険は事業主であるため、加入できない。
・第2号被保険者として、厚生年金保険と協会or組合管轄の健康保険に加入する。
本日のご説明は以上です。
ご不明点のある事業主の方、労務ご担当者の方はお気軽にお尋ねください。
参照:特別加入制度のしおり(一人親方その他の自営業者用)(労働基準局)