iDeCo(イデコ)とは?企業型確定拠出年金や他の制度と併用できる?NISAとの違いについて解説

ご覧いただきありがとうございます。社労士オフィスそらです。

本日は、iDeCoと各種制度の併用についてご説明します。

この記事でわかること

1 iDeCoとは?メリットや拠出金、加入対象者について
2 企業型確定拠出年金(企業型DC)と併用できる?
3 【第1号被保険者の方のみ】国民年金基金や付加年金と併用できる?
4 iDeCoとNISAの併用という選択も
5 まとめ

iDeCoとは?メリットや拠出金、加入対象者について

iDeCoとは、自分で決めた額(拠出額)を積み立てて運用して、60歳以降の資産を作る私的な年金制度のことです。(「個人型確定拠出年金」といいます。)

確定拠出年金には、「iDeCo」(個人型確定拠出年金)と、事業主が掛金を拠出する「企業型確定拠出年金」(企業型DC)があります。

国民年金を全ての方が加入する1階部分の年金、厚生年金を会社員の方などが加入する2階部分の年金とすると、iDeCoを含む確定拠出年金は、3階部分の上乗せ分の年金です。

確定拠出年金は、拠出金の金額や運用成績によって、受け取る年金額が一人ひとり異なることが特徴です。

元本確保型の商品もありますが、投資信託などの商品の場合には、元本を下回ることもあります。

運用商品の特性をよく理解しておくことが大切です。

iDeCoのメリット

掛金と運用益、給付を受け取るときに税制上の優遇措置があります。

掛金全額が所得控除になる。
運用益非課税で再投資される。
給付を受け取るとき一時金の場合は退職所得控除、年金の場合は公的年金等控除を受けることができる。
iDeCoのメリット

なお、原則として60歳以上でないと、掛金と運用益を受け取ることができません。(障害給付金や死亡一時金を受給する場合を除きます。)

また、60歳の時点で加入期間が10年に満たない場合は、期間に応じて支給開始年齢が延長されます。

拠出金

掛金は、5,000円から1,000円単位で拠出します。

基本的に毎月定額を拠出しますが、年に1回以上、まとめた月に拠出することも可能です。(企業型DC加入者はできません。)

なお、国民年金の被保険者区分(※)や、企業年金の加入状況によって拠出できる金額の限度額が異なります。

※国民年金の被保険者区分とは
被保険者とは、保険の給付対象者となる方のことです。国民年金には、20歳以上60歳未満のすべての方が加入します。職業などによって3つの被保険者区分があります。
・第1号被保険者→自営業者・学生の方など
・第2号被保険者→会社員・公務員の方など
・第3号被保険者→第2号被保険者に扶養されている方

掛金の限度額については、引き上げが検討されています。

令和6年6月現在の拠出限度額は、下記のとおりです。

第1号被保険者・任意加入被保険者                        
月額68,000円(国民年金基金または付加保険料との合算額)                     
第2号被保険者(会社に企業年金のない方)、第3号被保険者月額23,000円
第2号被保険者(企業型DCに加入している方)月額20,000円(月額55,000円-各月のDCの事業主掛金額)※上限20,000円
第2号被保険者(企業型DBと企業型DCに加入している方)月額12,000円(月額27,500円-各月のDCの事業主掛金額)※上限12,000円
第2号被保険者(企業型DBにのみ加入または公務員の方)月額12,000円(令和6年12月以降は20,000円)
iDeCoの拠出限度額(R6年6月現在)

加入対象者

基本的に、20歳から65歳未満の全ての方が加入できます。具体的な要件は下記のとおりです。

1.第1号被保険者

農業者年金の被保険者、国民年金の保険料免除者は加入できません。

2.第2号被保険者

企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している方には一定の要件があります。次の項目で詳しくご説明します。

3.第3号被保険者(被扶養配偶者の方など)

4.国民年金の任意加入被保険者(65歳まで)

また、老齢基礎年金を繰り上げ受給している方、iDeCoの老齢給付金を受け取ったことがある方は加入できません。

企業型確定拠出年金(企業型DC)と併用できる?

基本的に併用できますが、いくつか要件があります。

1 掛金(企業型DC・iDeCo)が各月拠出であること

掛金をまとめて拠出することは認められていません。

2 iDeCoの掛金額が、企業型DCの事業主掛金額と合算して、各月の拠出限度額を超えないこと

被保険者区分によって、1月に拠出できる金額には限度額があります。この限度額の範囲内で拠出する必要があります。

3 マッチング拠出をしていないこと

マッチング拠出とは、事業主の掛金に追加して、従業員本人も給与天引きで掛金を拠出することです。

マッチング拠出とiDeCoの併用はできません。

【第1号被保険者の方のみ】国民年金基金や付加保険料の納付と併用できる?

国民年金基金または付加保険料とiDeCoは併用が可能です。

なお、国民年金基金と付加保険料の併用はできません。

両方とも、第1号被保険者の老齢基礎年金の上乗せを目的とした制度であるためです。

拠出額は、国民年金基金または付加保険料を合算して、第1号被保険者の限度額である月68,000円を超えない金額です。

付加保険料についての記事はこちら

iDeCoとNISAの併用という選択も

令和6年1月から、新NISA制度が開始されました。

iDeCoとNISAの主な違いは下記のとおりです。

iDeCoNISA
目的老後の資産形成。3階部分の年金制度ライフイベントに合わせた資産形成。株式&投資信託の税制優遇制度
拠出限度額被保険者区分と企業年金の加入状況に応じる。5千円から千円単位で積み立て年360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)。生涯投資枠は1,800万円。(内、成長投資枠は1200万円まで)
投資可能商品投資信託、元本確定商品など。NISAに比べると商品が少ない。つみたて投資枠は、長期投資に適した一定の投資信託。成長投資枠は上場株式等を含む。
受け取り開始年齢原則60歳。加入期間が10年に満たない場合は繰り下げありいつでも引き出しOK
税制上のメリット所得控除、運用益が非課税、受け取り時の控除あり運用益が非課税
iDeCoとNISAの違い

参照:iDeCoとNISA(厚生労働省)

iDeCoとNISAは投資の目的が異なるため、両制度の併用が可能です。

iDeCoは原則として60歳にならないと引き出せませんが、NISAは必要に応じて、途中で引き出すこと(解約)ができます。

まとまった資金が必要になるライフイベントがあれば、NISAの方が柔軟な活用が可能です。

(※NISA口座の商品を売却した場合、売却した翌年に非課税枠が復活します。そのため、年間投資枠の範囲内で、翌年以降に再投資も可能です。ただし、投資信託を保有している場合は、長期的に保有することで利益を得られることが多いため、途中で売却することが望ましいとは限りません。)

一方、運用益のみ非課税となるNISAに比べ、税制上の優遇措置はiDeCoの方が大きくなっています。

掛金が全額所得控除の上、運用益に課税もされず、受け取り時にも各種控除が適用されることは大きなメリットです。

所得が高い方ほど、iDeCoの節税効果は大きくなります。

ご自身のライフプランを考えて、比較検討しましょう。

まとめ

iDeCoのポイント

・iDeCoとは自分で決めた額(拠出額)を積み立てて運用して、60歳以降の資産を作る私的な年金制度のこと。掛金と運用益、給付を受け取るときに税制上の優遇措置がある。

・投資信託などの商品を選択した場合、元本を下回ることがある。運用商品の特性を理解することが大切。

・引き出しは原則60歳以降から。投資は余剰資金で行う。

・被保険者区分や企業年金の加入状況によって、拠出限度額が決められている。

・NISAとの併用もライフプランにあわせて検討する。

本日のご説明は以上です。

ご質問のある事業主の方、労務ご担当者の方はお気軽にお問い合わせください。

参照:iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)

※本記事は、情報提供を目的としています。特定の投資等を推奨するものではありません。